日はY氏と二人の行動。翌日の金山沢滑降のついでに、前日は気軽に八方尾根で遊ぶつもりの軽いのり。天気もいいことだし適当に八方尾根を詰めて適当に遊び、後はガラガラ沢をにドロップしようと思っていたのだが。まさか人生最大の苦難なルートになろうとは(^。^;)・・・・。
2005年4月16日 長野県白馬村
山岳スキーの定番中の定番。この日も多くの人がスキーでこのルートを訪れていた。1800mまでゴンドラおよびリフトを使って行けるので、登りはかなり助かる。厳冬期はそれなりに技術が必要となるだろうが、今回のように雪の緩んだ状態なら、スキーでほぼ唐松山荘手前100mまで登ることができる。最後の100mが難所だと思ったが、実際はたいしたことはない。今回は特にアイゼンの必要は感じなかった(アイゼンが必要ならそこからあきらめて帰る予定だった)。これほど手軽に北アルプスの稜線に立てるルートは、本当に貴重だ。
八方尾根は長大な尾根で、ここから、ガラガラ沢、八方沢、唐松沢など素晴しいスキールートが広がる。また尾根上を滑っても充分楽しい滑降が可能だ。
リフト料金
ゴンドラ(850円)
リフト(300円×2)
すべて別々に購入する必要がある
参考タイム
リフト終点(9:00)-第三ケルン(9:50)-丸山ケルン(11:06)-唐松山荘(12:00-12:20)-ドロップポイント(12:45)-唐松沢出会(13:00)-滝(14:00)-南股入出会(14:30)-二股(15:35)-ゴンドラ乗り場駐車場(16:35)
丸山ケルン周辺から、唐松岳の素晴しく豪快な景色。ここまでは尾根も広く、ルンルン気分のスキーハイキング。
リフトを降りてすぐ目に飛び込んでくるのは、五竜岳の勇壮な岩肌。雲がやや多く、なかなかすっきり晴れないのが残念。風も弱く、春の強い日差しとあいまって汗ばむ陽気に。
さっきまで白馬岳もきれいに見えていたのだが、カメラを向けたときには、雲がまとわり付いてなかなか見えない。さっさと写真を撮っておけばよかった、残念。 30分も歩けば、第一ケルンのある広い尾根になる。ここは本日の目的(になるはずだった、ガラガラ沢のドロップ地点。でもこれではあまりに短いので、行ける所まで八方尾根を詰めることにする。
雲は多少大目ながら、まずまずの天気。いかにもアルペン的な景色を堪能しながら、記念撮影もなかなか良いものだ。
不帰嶮の岩肌は豪快そのもの 唐松山荘手前から大黒岳方面。
丸山ケルンから不帰嶮を眺める。 八方尾根の南面に開ける斜面も気持ち良さそうに広がっている。どこでも滑れそうに思えてくる。
唐松山荘の直前に、両側が切れている難所があるということだったが、ロープも張ってあるどうということのないただの岩場だった。これなら夏に娘と一緒に登れるだろう。稜線まで来たが、残念ながら剣岳は雲の中。まあ念願の唐松岳の稜線にたどり着いたことだし、後は快適斜面を滑って、ガラガラ沢にドロップするだけだ・・・・・が? Y氏はせっかっくここまで来たのだから、唐松沢へドロップしようということらしい。へ・・?この奈落の底に落っこちていくような急斜面に?無理無理、私はさっさと尻尾を巻いて遠慮するつもりが、ズルズル滑る羽目に。滑り出し45度、平均斜度40度、標高差300mの急斜面。それでもザラメならなんとかなるか・・・・。
最初の3ターンくらいアルペンターンで乗り切れば、何とかなるだろうと思い切ってダイブ。がしかし、ザラメは上部のみ、下に行くほど日陰でガリガリのアイスバーン+凸凹荒れた斜面。斜度も一向にゆるくならない。段々顔が引きつり、そのうちバランスを崩し頭を下にして転倒。すぐにスキーを下にして制動し何とか滑落は免れたが、対応が遅れたら下まで一気に滑落しそうだった。一度こけたらそれから顔面蒼白、心の余裕を失い横滑りとキックターンを繰り返して、何とか沢の底までたどり着いたが、精魂尽き果てた。さらにそこから沢一面を多い尽くすデブリ。延々デブリの上を無理やり滑りへろへろになって滝に到着。高巻く気力もなく、ちょうど滝壺に残っていたスキー板2枚分の幅のスノーブリッジを滑りぬけて、何とか通過。さらにデブリで埋まった沢が続いたので、最後は板を脱いで何とか林道終点の広い沢に出た。ここでやっと緊張感から開放された。やれやれ。
デブリのない場所を選んで滑るもののたいして続かない。ほとんどデブリの上を滑っていたことしか記憶にはないなあ。 やっと二股の橋に到着。遥かかなたは先ほど滑り始めた唐松岳がそびえている。よくここまでたどり着いたものだ。しかしここからさらに延々4kmの車道を歩いて、出発点へ。とにかく緊張感と長丁場に疲れたツアーだった。
本日の核心部の滑走ルート。最大の誤算は日が当たらない斜面で、アイスバーン化していたことだった。ネットで調べると通常のルートはAもしくはBらしく、今回は東向きの日の当たるBが正解だったようだ。ちなみにいずれのルートも急斜面の標高差は300mほど、今回のルートの平均斜度は40度、Aは38度、Bは36度くらい。15人ほどのボードツアーやそれ以外にもかなりの人が、唐松沢に入り込んでいたところを見ると、AもしくはBから滑り込んだと思われる。ルートと状況を聞いておけば良かった。
カシミールでルートを再現。今回のルートは「バキューム」と言われているらしい。確かに吸い込まれるような斜面だった。
これは2003年のGWに、栂池付近から撮影した唐松岳。写真で見るとかなり・え・く・す・と・り・ー・む・な斜面だ。こんなところは二度と来るものかと思ったが、時間が経つとなんだかもやもやしたものが心に残る。これは近いうちにリベンジしておかなければなるまい。最も今度はBルートにするだろうと思うけどね。